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【ネタバレ】おっさんは悪くない!!映画「ドントブリーズ」の感想・考察

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倫理を問いかける、意地悪ホラー

 

 

震え上がりました。終始身体をグネグネ動かしてないととても耐えられそうにありませんでした。二度と観たくない、、それくらいの恐怖に襲われた「ドントブリーズ」の感想です。

 

ドントブリーズの感想〜襲いかかる異質の恐怖〜

今作「ドントブリーズ」のホラーたる所以が盲目サイコパスおっさんが若者を絶望の淵に追いやるところなのは予告編を見るかぎり明らかです。

しかし筆者が最も怖かったのはそこではありません。

もちろんおっさんの執念とか真っ暗闇の演出とか狂犬だとかもひたすらに恐ろしかったです。ですがそれよりもどちらを応援したらいいの?という部分がずっとつかめず、そんな自分に恐怖を感じずにはいられませんでした。

なんというか、映画から「正義とか善ってどこにあるのかな?ウフフフフ」という意地悪なメッセージをひたすらに感じ続けていたんですよね。この作品の主題はおそらくそこにあるかと思います。(どこかのインタビューでもそう語られていました。CUTかな?)

主人公はもちろんスリを働く青年3人で、それぞれ3人にもスリを働かないといけない動機がある(コツコツ働けというのはごもっとも…)。一方で盲目のおっさんは被害者であり、強盗犯である青年3人は然るべき処罰を受けて当然である。

しかし、そのおっさんはあまりにも強すぎる故に、上下関係は一転。バツを受けて当然の青年たちはおっさんから逃げまどう側に。

オーシャンズ11などのいわゆるケッパーものならいいんですよ。彼らが主人公である限り勝利は約束されているから。

しかし、今作の悪役であるはずのおっさんはすでに手負い。手負いであるだけで主人公たちを手放しに応援するわけにはいかなくなってしまう。手負いだから応援してしまうのか?

 

全員、悪役

なんかこんな感じのコピー日本の映画でみたことあるような…?

この恐怖は一般的なホラー映画のびっくりさせられるそれとは違う、芯から迫るゾクゾク感が最高に心地悪かったです。(褒めてる)

しかしです。

本当に今作の登場人物は全員悪役なのでしょうか?状況だけ見ればそうかもしれませんが、それぞれの行動原理を掘っていくとそうでもないのかもしれない…と筆者は感じました。こちらは後述します。

 

暗闇世界の共有は監督の慈悲か?それとも悪戯?

どっちつかずと述べていますが、おそらく今作を観た人の殆どは強盗側の若者達に感情移入しながら物語を追っていくものかと思います。(空き巣やスリの被害にあった人からしたらヤッちまえ!!と思うものかもしれませんが笑)

それを決定づけるシーンが暗闇の共有シーン。

おっさんが地下室の電気を全てOFFにし、青年たちの視界を奪います。普段暗闇に慣れていない我々にしてみれば、青年たちの恐怖が痛いほどに伝わってくるこのシーン。

このとき、暗闇をもろともせずに襲い掛かってくるおっさんは真に殺人鬼と化します。上下関係が決定的に逆転するシーンであり、弱者と化した青年に逃げてくれ…と思わずにはいられなくなるのです。

この演出は非常に上手い。同時に悪どい。。

 

結局"スリをするほうが悪い"

元も子もないような発言ですが、筆者は最終的にこの考えに至りました。後味が悪いのは変わりませんが。。

おさらいすると、今作は

"空き巣で人生大逆転を狙う青年達が娘を失った事故の賠償金で暮らす盲目サイコパスなおっさんを襲撃したら実はめちゃくちゃ強くてやっべぇゾ!"

という話なのですが、おっさんのサイコパス要素は元から備わっていたのではなく、後付されたものではないか?と筆者は感じました。ゆえに結局スリを働いたほうが悪いと。

噛み砕くと、それぞれの動機として

  • スリ側は今のクソッタレな生活を変えるために人のカネ盗んで一攫千金じゃ!!という動機
  • 盲目サイコパスおっさんとしては"大事にしてたカネが奪われた!!ぶっ殺してやる"という動機。


殺してやるァァァ!!まではやりすぎかもしれませんが、相応の金額を盗まれているというともあり、正当防衛であると考えても差し支えないでしょう。

そこに驚愕の真実として娘を殺害してしまった少女を拉致、子を産ませようとしているということが明らかになります。これがおっさんをサイコパスと決定づけ、観客を更なる恐怖の渦に陥れる仕掛けでしょう。


しかしそれは娘を事故で失ってしまったゆえの話

娘を事故で失っていなければここまで狂った発想はせずに、平和に暮らしていたかもしれません。事故が起きてしまったものは仕方ありませんが、もとはと言えば事故さえ泣ければ

"めちゃくちゃ強い盲目のおっさんが強盗を試みる青年を撃退する"

だけの話になるのでは…という結論に。

そういうわけで、結局まっとうな方法でお金を得ようとしなかった青年たちが自業自得の事態にあいましたとさ…。

こんなところですかね。