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【ネタバレ】映画「来る」の感想/黒木華が一番の恐怖だった件。お祭りJPOPホラー!

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たった二文字、「来る」というタイトルがとても印象的な今作。「告白」「渇き」の中島哲也が送る「最恐エンターテイメント」は一体何がやって「来る」のか。

 

 

 

映画「来る」の基本情報

監督:中島哲也
配給:東宝
上映時間:134時間

原作は第22回日本ホラー小説大賞を受賞した「ぼぎわんが、来る」(澤村伊智・著)。原作は民俗学をベースに「ぼぎわん」という妖怪の正体に焦点が当てられていましたが、今作は人間の心の闇に迫る構成になっています。

 

「来る」のあらすじ

恋人の香奈との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前で、来訪者がその名を知っていたことに、秀樹は戦慄を覚える。そして来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。それから2年、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、不安になった秀樹は知人から強い霊感を持つ真琴を紹介してもらう。得体の知れぬ強大な力を感じた真琴は、迫り来る謎の存在にカタをつけるため、国内一の霊媒師で真琴の姉・琴子をはじめ、全国から猛者たちを次々と召集するが……。

映画.comより引用

 

「来る」の登場人物/キャスト

野崎/岡田准一

オカルトライター。秀樹の親友の津田から紹介をうけ、「あれ」の正体にせまる。

登場直後は得体の知れない魅力があってこの人がどうなるか/どんな人なのかが気になってしょうがなかったのですが、そこまで深掘りされることもなく、彼が主役になる後半は割とダレてしまった印象。登場時にマコトをぶしつけに蹴りつけるぶっきらぼうなキャラでいてほしかった。琴子に殴られてぶっ倒れるシーンが最大の見せ場。

 

マコト/ 小松菜奈

キャバ嬢霊媒師。野崎と恋仲ぽい感じ。「あれ」に戦いを挑む。

キャラ紹介で気を引くだろうという理由だけで職業をキャバ嬢にさせられてしまった不遇の人物(原作ではキャバ嬢ではない)。作中でキャバ嬢らしい場面は一度もない。もはや小松菜奈にも見えない。ここまで変われるのはすごい。

 

琴子/松たか子

日本最強の霊媒師。原作ではおばけも逃げ出すレベルに強いらしい

よくわからんキャラだった。

 

田原秀樹/妻夫木聡

香奈と結婚し、イクメンパパとして家族を支える。ブロガーとしてイケ◯ヤの座を狙っているかもしれない。

気持ち悪くて胡散臭くて妻夫木がはまり役すぎました。

 

田原香奈/黒木華

秀樹の妻。秀樹のモラハラ、と多忙を抱え育児ノイローゼ気味になる。

驚いた。冗談抜きに今作で一番怖かった。「リップヴァンウィンクルの花嫁」の印象がとても強かったので、彼女の新境地を(勝手に)みた気がしました。素晴らしい!

 

津田/青木崇高

秀樹の親友の民俗学者

ただの性格悪い人。いいキャラしてました。秀樹よりも陰湿?

 

逢坂セツ子/柴田理恵

タレント霊媒師。

原作ではころっと死んだ模様ですが、映画ではなんとびっくり大活躍。よく生きてたな。お祓いライブでも最後まで生き残り、天命を全うした。シャンクスか。

 

「来る」の感想

どことなく消化不良な印象になりました。全然来なかったし、正体はわからないし。田原一家の話はモラハラ夫、育児の難しさという普遍性のあるテーマで見ていてとても面白かった(気持ち悪かった)のですが、野崎とマコトのコンビに話が移ってからはテーマを話を進めていったのかがよくわからなくなって「結局なんだったんだろう?」という思いを抱いて終わってしまいました。全体的に映像はスタイリッシュさを意識していたのか「オッ」と感じられるシーンは割とありましたけどね。

 

とくに野崎についての人間性の掘り下げが浅かったと言うか、それなりに時間を割いて「失うことへの恐怖」を描いていたにも関わらず「じゃあどうしてそうなったのか?」という部分がわからず、なかなか感情移入できなかったです。そもそもオカルトライターなんて、なにか特殊な動機がないとそれで生計を立てようなんて思いませんよね。登場時はめちゃくちゃイケててキャラとしての魅力が半端なく感じただけに残念な部分ではありました。

 

対して秀樹はごく一般的な人間が根源的に求める矛盾した欲求をベースにストレートな行動をしていたために気持ち悪さやタチの悪さがよく出ていましたね。妻夫木はまり役だったなぁ……。黒木華も最高。後半の役回りが原作とだいぶ異なっていたのですが、アレはアレでとてもよかった。なんなら妖怪よりも黒木華の方が怖かった。野崎からもらった塩を踏み潰してニヤッと笑うシーンがマ〜〜〜〜ジで怖かった(やっぱり人が一番こわい)。

 

二人とわりとタガが外れてしまっているのですが、それでも最後は親としての顔を見せるところも痺れました。人間的でいいなぁって。小松菜奈扮するサトコ?はいい人だったけどキャバ嬢である意味はわからず。絶対注目度高めるために適当につけたでしょ……。

 

前半はガチホラー、後半は超常現象バトル

香菜が死に、琴子が本格的に存在感を出すシーンまではガチガチのホラーで最恐の名に違わなかったです。夫婦の両者が妖怪の手にかけられるシーンはトリック的な面もビジュアル的な面も抜群に巧かった。

 

秀樹が亡くなるシーンで妖怪が電話で知り合いの声に扮するという見事な手口を披露(携帯にかけてきたのが妖怪だった)。あのシーンはほんとにゾクゾクが止まりませんでした。 対して香奈のシーンは物理的に恐怖を醸成。あのビジュアルは誰が見ても恐い。なお小説版はもっと恐ろしい登場の仕方をしてくるようです。

 

琴子が現れてからはバトルものに急転換。名だたる霊能力者が各地から埼玉県に集い、「お祓いバトル」が始まります。なんだそれ。これはこれで面白かったけどどうせ展開を変えるなら映画「コクソン」くらいネタに振り切った感じでやればよかったのにな〜と思ったり。

 

妖怪の正体については明かされない

最後まで妖怪がどのような存在かは明かされませんでした。最終的に知沙ちゃんの心のスキマに入り込んで友達みたいな感じで仲良くやっていたという認識でよかったのでしょうか。

 

そうだったとしても行動規範がばらばらで大味すぎる印象は否めず。子供の幻覚を映しだすのも意味がわからないし。原作はしっかりと描かれているようですが、映画を見るだけではよくわかりませんでした。

 

原作「ぼぎわんが、来る」が面白そう

あんまりにも消化不良だったので鑑賞後に原作をパラパラ読んでみたらこちらがまぁ面白そうで。映画では冒頭の不穏な雰囲気を醸し出す法事から、その後の結婚式で同僚に疎まれていたりブログに傾倒する秀樹の姿から崩壊の足音が聞こえていますが、小説ではそうではないみたいです。

 

小説は3章立てでそれぞれ別々の人物の視点から物語が描かれ、一章がぼぎわんから家族を守るために奔走する秀樹、二章が秀樹を失った香奈、三章がオカルトライター野崎の視点から描かれます。

 

視点の切り替えを用いて叙述することで、完璧な"イクメンパパ"として描かれていた秀樹が妻の視点から描かれる二章でただのSNS、ブログでいい姿をしたいだけのモラハラ夫ということがやっと判明します。いわゆる叙述トリックというやつですね。もうこの展開だけでお腹いっぱいになりそう。その後琴子の登場で物語は急転、超常現象霊能力バトルに発展するということで話の振り幅が異常に広い。映画との相違点も割とあったのでその点でも楽しめそうです。年末のお供は「ぼぎわんが、来る」にしようかしら。

 

小説との相違点はこちらで書いてます。

ohrmsk.hateblo.jp


「来る」の結末

最後は妖怪をお祓いすることに成功して、ハッピーエンド。オムライスの国でごきげんな知沙の夢の中を描き、エンドロールへ。原色をベースにカラフルに彩られたオムライスの国。知沙ちゃんが幸せそうでなによりでしたがなぜこれをラストにもっていったのか……。

 

しきりにオムライスと絡みをもたせていたのはわかりましたが、最後に持ってくる意味はあったのか。最後にもってくるのであればもう少し重要な役割をもたせてもよかったような。最後はよくわかりませんでした。もしかしてオムライスが妖怪の正体で仲良くなれてめでたしということだったのでしょうか。あるいは妖怪で埋められていた心の隙間が空き、オムライスのことを考えられるくらいにハッピーになりましたという暗喩か。よくわからん。

 

結論

人間が一番こわい