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【ネタバレ】映画「ホワイトリリー」の感想・あらすじ・結末/ホラー?いやいやロマンポルノです!

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純白の花弁が咲き乱れる。

 

 

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2月11日公開の映画「ホワイトリリー」を監督、出演陣の舞台挨拶付きで鑑賞してきました!いや、素晴らしい作品でしたね。全5作のロマンポルノリブートプロジェクトの中で順位をつけるなら一番好きかも。

舞台挨拶では日活に入社し、ロマンポルノに携わりながら映画製作をしてきた中田秀夫さんの熱い想いが伝わってきて思わずジーンとしてしまいました。ロマンポルノへの愛がこれでもかと伝わってきましたね。。。

 

※ネタバレ含みます

 

 

映画「ホワイトリリー」の基本情報

監督:中田秀夫

脚本:加藤淳也・三宅隆太

上映時間:80分

配給:日活

 

中田秀夫さんといえば「リング」や「クロユリ団地」「仄暗い水の底から」などのホラー映画のイメージが強いですが、以外にホラー映画以外にも幅広いジャンルの作品を撮られています(MONSTERZやインシテミルなど)。

さらに意外なのは中田さんの映画体験のルーツがロマンポルノにあったということ。詳しくは後述します。

 

映画「ホワイトリリー」の登場人物・キャスト

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新宿武蔵野館より

 

はるか/飛鳥凛

登紀子に師事して陶芸を学んでいる。また登紀子に対して特別な感情を抱いている。

 

登紀子/山口香緒里

腕利きの有名陶芸家。夫を事故で失った過去があり、それ以来酒に溺れ、快楽に身を委ねる。

 

さとる/町井祥真

有名陶芸家の息子。ある日登紀子家に転がり込み、その秘密を知ってしまう。被害者。

 

あかね/西川可奈子

さとるの彼女。いわゆるメンヘラ。

 

映画「ホワイトリリー」のあらすじ

はるかと登紀子は陶芸の師弟関係であり、二人で陶芸教室を営んでおり、お互いのトラウマを慰めるかのように身体を求めあっていた。

はるかは師匠、登紀子の どこか浮足立っている態度にどこか空虚な日々を送っている。

ある日、二人のもとを有名陶芸家の息子、二階堂さとるが訪れ、その日から二人の関係に亀裂が入り始める…。

 

映画「ホワイトリリー」の結末・ラスト

はるかとさとるは登紀子にキスされている現場を目撃されてしまう。激昂する登紀子は自分の目の前で性行為をしろ!とはるかとさとるに命令。とまどいながらも行為に及んぶ二人。

徐々にヒートアップしていく二人だったが突然さとるの彼女のあかねが乱入。発狂したあかねは包丁を手に取る。静止しようとするさとるだったが誤ってさとるに手をかけてしまう。

登紀子があかねに「めんどくさい女ね 死ぬなら勝手に死になさいよ」というと逆上、登紀子を刺そうとするがかばったはるかを刺してしまう。

アトリエ登紀子は休業、半年がたった。白い布に覆われた家具たちとともに、真っ白な服を着て佇む登紀子。そこにはるかが訪れる。

半年ぶりの再開で激しく身体を貪り合う二人。ことを終えると登紀子ははるかに「家に戻ってこない?」と提案をする。

はるかは強いまなざしで「先生。ありがとうございました」。と言った。そして、登紀子の元を去るのだった。

 

家具にかけられた白い布は誰かの死を意味してますよね。だとしたらさとるくんが逝ってしまったのでしょうか。ここだけはわかりませんでした。

 

映画「ホワイトリリー」の感想

ホラーポルノやんこれ…

素晴らしい作品でした。中田秀夫さんといえば「リング」や「女優霊」などのホラー映画が印象的で「ロマンポルノでも絶対にホラー要素入れてくるやろ…」と思っちゃいますよね。

はい。しっかりホラー要素ありました。貞子は出てきませんが、ゾワゾワする恐怖の感じさせ方はさすがのホラー映画の巨匠。エゴとエゴがぶつかり合って、「誰が正しいんだ!?」「ロマンポルノってよりホラー映画だろこれ」と思いながら見てました。

 


これ。あまりにも上手に言語化されていて膝を打ちました。。さすが監督。笑
さとるが一番まともでした。

 

と思ってたらロマンポルノだった

終わってみたら5作の中で1番ロマンポルノっぽさがあったような作品だったなぁ…と。物語だけ見ると2人の女の事故に巻き込まれた男の愛憎劇です。まるで昼ドラです。というか昼ドラです。でも、それが一番ロマンポルノぽいんです。

ロマンの意味は物事を理想的、感情的に捉えること。ロマンは感情です。愛は感情の最たる要素です。愛を以て憎悪が発露する。。とてもロマンじゃないですか。。。これぞロマンポルノ。。。

それとラストシーンがあまりにも綺麗でした。「素晴らしいロマンポルノだった…」と思わず涙が出そうになりました(本当)。

 

縛られた心が解かれるラストに感動

中田さんが意図したのかはわかりませんが、ラストではるかが登紀子に別れを言い渡すシーンはすごく感動しました。

スクリーン全体に広がるはるかのどアップ。雨が止み、徐々に顔に差し込む光。その眼差しに迷いはなかった。何かを決意したかのような。強い眼差し。「ありがとうございました。」と言いお登紀子の元を去るはるか。

美しいBGMも相まってリブートプロジェクト全5作の中で最も感動が込み上がってきましたね。きれいだった…。

はるかが旅立つあの瞬間。一人の女性が自らの呪縛から解き放たれたような気がして。率直に"良かったな"と安堵すると同時に得も言えぬ感動が湧き上がってきたんですよね。すごく良い余韻に浸れました。
  

緊張の緩和が生む笑い

クライマックスシーンで生まれた笑いが非常に印象的だったので自分なりに言語化してみました。

クライマックスシーンというのははるかとさとるが登紀子の目の前で情事をするシーンですね。めちゃくちゃ緊張感があるシーンだったのですがそこに「なにやってるの!!!」と登場し、場の空気をぶち壊すのがさとるの彼女の茜。筆者は見事に笑いました。

そもそもテーブルの上に女性の裸体が乗っかっているっていう時点で面白いし(マグロの解体ショーか)SEXしだしたら「もっと地面が柔らかいところでして!!」って思うしそれをマダムが見てるってのももっとおかしい。そして浮気相手の登場。鍵開いてたの?

このシーン、ぼくが観ていたときは「ふふ」って笑いが少し聞こえたくらいでしたが海外で上映された際は大爆笑が巻き起こったそうです。

この笑いのメカニズムはおそらくこう。

緊張のリリース(=緊張感に緩急を出すこと)と、シリアスシーンを客観視させる仕組み(=第三者の登場)を作ることで、観客である我々は「この人たちがやっていることって冷静に考えると変だよね」という現実に引き戻されます。

そこでようやく極限の緊張感を孕んでいたクライマックスシーンが「よく考えるとすべてがおかしい」ことに気づくのです。いやー、やられましたねこれは。笑

思い返せばロマンポルノシリーズは性行為のシーンに笑えるものが多かったのですが、それはこの第三者の視線が介在することで生み出されていたのかな。なんとなく腑に落ちた感じがしました。

 

"まなざし"の力

今作で改めて実感したのはまなざしの力。

作中で多用されていた演者さんのドアップですが、その時の視線の強さと言いますか、目の表情一つでこれだけ感情の機微を描けるものなのかと戦慄。登紀子の憎悪がこもった視線は貞子の眼力を彷彿とさせる恐ろしさでした。笑

かと思えばラストシーンの揺るぎない決心を感じされるはるかの強いまなざし。そこにいたのは呪縛に囚われていた過去のはるかではありませんでした。目だけでここまで人の印象が変わるのか…と感動しました。

 

まとめ−中田秀夫さんの"原点回帰"作−

今作を一言で言うなら"一人の女性の成長の軌跡を描いた昼ドラ"でしょうか。そこに至るまでのドロドロした紆余曲折は紛れもなくホラーですが、とても気持ちの良い余韻に浸れるロマンポルノムービーです。

日活に入社された当時も「ロマンポルノを撮りたい」という強い思いを抱きながら助監督として活動されていた中田秀夫さん。

残念ながら監督として一人立ちするころにはロマンポルノの制作は終了してしまうのですが、ついに念願かなってロマンポルノ作品のメガホンをとることに。

それだけに今作、並びにロマンポルノへの思い入れは相当なものがあったんだろうなぁ…と感慨もひとしおでした。

今作はそういったドラマもあって、より深く楽しめましたが、舞台挨拶を抜きにしても「素晴らしい作品!!」と素直に思える良作でした。

順番をつけるのはあまり好きじゃありませんが5作の中でランキングをつけるなら文句なしのナンバーワンです。良い作品でした。