【感想】映画「この世界の片隅に」は2016年アニメ映画の大本命だった【ネタバレ】
本記事は移転しました。
約3秒後にリダイレクトします。
リダイレクトしない場合はここをクリックしてください。
「君の名は」「聲の形」に続きまた邦画アニメに傑作が…豊作すぎるぞ今年!
映画「この世界の片隅に」。恥ずかしながら公開当初は全くのノーマークだったのですが評判があまりにもいいので観てきました。観ることができて本当に良かったです。
純粋に、たくさんの人に観てほしい作品です。今を生きる僕らにとって、大切なモノが溢れている映画です。
劇場には30代以上の人(もっと言うなら50代以上が一番多かった)が多く、20代は筆者くらいと言ってもいいくらいの状況だったのですが、若者にこそ観てほしいです上手く言えませんが。
多くの人に見てもらって、語り継がれてほしい作品です。
- 「この世界の片隅に」の基本情報
- 5秒でわかるあらすじ
- 「この世界の片隅に」の登場人物紹介
- 「この世界の片隅に」の感想、考察
- 結末/ラスト
- 総評:全人類が観るべき示唆に富んだ作品
- 「この世界の片隅に」がオススメな人
- 「この世界の片隅に」が合わなそうな人
「この世界の片隅に」の基本情報
クラウドファンディングで生まれた傑作アニメーション
今作は制作資金をクラウドファンディングで募った珍しい作品となっています。
その目標支援額は"2160万円"。破格の金額にも関わらず、最終的に約4000万円ほどの支援額を頂けたということからも相当な注目を集めていた作品だということがわかります。
現在、海外にもこの素晴らしい映画を発信するために新たなプロジェクトもスタートされています。
しかし、支援が予想以上に多くなってしまったみたいで監督自ら「支援を控えてもらいたい」というコメントをするくらいの異例の事態になっているようです。
鑑賞後はもう是が非でも支援しなければ!!という気になるので気持ちは痛いくらい分かります。全世界の人にこの映画が届いてほしい。ほんとに。
5秒でわかるあらすじ
舞台は1944年の日本。広島で住む18歳のすずに縁談の話が持ち上がり、すずは何もわからないまま呉に越し、海軍に務める青年に嫁ぐことになる。
突然の環境の変化にも、淡々と生活をこなすすずさん。克明に描かれる戦時中の日本の姿。徐々に日常が非日常に侵されていく中での、すずさんと、周りの人々の生活を描く。
「この世界の片隅に」の登場人物紹介
北条すず(旧姓:北野):のん
おっとりのんびりな広島っ子。絵がとても上手い。広島出身だったっけ??と思うくらいにのんの演技力が凄まじい。
北条周作:細谷佳正
海軍に務めるすずの夫。幼少時にすずに出会い、結婚する。 優男。
黒村径子:尾身美詞
周作のお姉さん。娘の晴海と共に北条家に戻ってきた。さっぱりした性格。
黒村晴美:稲葉菜月
径子の娘。天真爛漫ですずに懐いていた。
北條円太郎:牛山茂
周作の父。海軍の工場勤務。おおらか。
北條サン:新谷真弓
周作の母。足を痛めている。おおらか。
水原哲:小野大輔
すずの小学校の同級生。海軍に入隊し、軍艦の乗務員になる。すずに会うために北条家を訪れた。
白木リン:岩井七世
すずが遊郭街で迷子になったときに帰り道を教えてくれた優しいお姉さん。いい匂いがするらしい。
浦野すみ:潘めぐみ
すずの妹。すずととても仲がいい。陸軍の工場勤務。
「この世界の片隅に」の感想、考察
教科書でしか知らなかった戦争の「本当の姿」に衝撃
筆者は今年23歳になったばかり。戦争なんて教科書とゲームの中でしか知りません。
戦争をテーマにした作品はいくつか見たことがありますが、それはあくまで主人公が軍人だったモノばかりで、メインにあったのは友情とか派手なアクションとか。
それももちろん戦争です。でも、もう一つこれまで筆者が見てこなかった、「戦時中のふつうの人達の日常」もまた戦争の側面。
だから、この作品で描かれる情景は見ていてあまりにも衝撃的でした。淡々と進む中に、何かおどろおどろしいモノを感じさせられる、悪い意味でもいい意味でも本当に衝撃でした。
当時は「生きることそのもの」が悦びだった
ただご飯を食べているだけなのにこんなに幸せそうな画が他にあるか…。
当時は火おこしから水くみまで全部自分でやるしかありませんでした。水を汲むために井戸へ行き、火を起こすために薪を焚べる。「これ全部手仕事でやっていたのか…」という驚き。
しかしそれは決してネガティブな印象だけではありません。むしろ「あぁ、いいなぁ…」とも思えるものでした。
水を汲みにいくすずさん、衣服を編む径子。仕事に出る周作。それらの行為は総て衣食住、すなわち"生きるため"に直結する行為です。当時は生きるために必要な行為だけで時間が自然と過ぎていったのです。
そして、それぞれの行為は「生きていることへの感謝」につながっています。食べられることへの感謝、着られることへの感謝、仕事に行ける感謝、今日を生きられることへの感謝。
それは、余暇をいかに楽しむかを考えることばかりになってしまった我々が忘れてしまった、あるいは最初からなかった時間。そして最も尊い時間だと思います。行動の合理化に慣れすぎて忘れてしまった大切な時間。それを感じる事ができました。
非日常が日常になることの怖さ
この世界の片隅にを見て常々感じたのは、戦争という"本来起きてはならないこと"が日常に溶け込んでしまうことの怖さを感じました。
本当に恐いのは第二次世界大戦でも原爆でもありません。おかしな非日常が日常になってしまうことが一番恐いことです。
うろ覚えですが、空襲の警報が鳴った際に場に居合わせたおばちゃまが「また警報かね、どうせ来ないんじゃいのぉ」という要旨を含んだセリフを発するのですが、筆者はこの言葉がすごく印象に残っています。
戦争が常態化してしまった結果発された言葉。その言葉から感じた印象は"空襲なんて来ないでほしい"というよりは、"どうせ来ないんだから鳴らさんといて"でした。空襲なんて来ないに越したことはないのに。本当に来たらあなたの住む家もめちゃくちゃになってしまうのに。
おばちゃまの真意はわかりません。"戦争だからしょうがない"という半ばあきらめに近い感情かもしれないし、単純に"今忙しかったのに!"という軽い気持ちだったかもしれない。
ただ、自分にとって良くないことを、さも平然に言えてしまうようにしてしまうことに恐怖を感じてしまいました。
結末/ラスト
不発弾の爆発により、晴海の命と自身の右腕を失ったすずだが、懸命に毎日の生活を積み重ねていく。そして1945年8月6日にやってくる。
広島に原爆が投下され、その一週間後には、天皇による玉音放送が。それは日本の敗戦による、戦争の終結という内容だった。
「ここに5人残ってる、まだ左手も両足もある!」敗戦という事実に珍しく感情を露わにするすず。このシーンは凄まじかった。。
原爆が落とされた広島を歩くすずと周作。すずの両親の姿はそこにはなかった。
二人が駅で汽車の到着を待っていると、原爆で親を失ってしまった子どもが二人に懐く。か彼らは快く子どもを受け入れ、家に招く。
呉に戻ると、米軍が上陸しており、彼らからの供給を受けとる生活が始まる。それは、すず達の新たな日常であり、そこにはすずを探し出した周作もいる。
「この世界の片隅で私を見つけ出してくれてありがとう」すずが周作に伝える。
彼女たちが自宅から眺める先は、希望を感じさせる、美しい世界が広がっていたのだった。
…………………………………………
結末というか、起こることがわかっているゆえに最初から嫌な予感しかしていなかったので、希望を感じられる終わり方で締めてくれて本当に良かった。ぼくらは生きているだけでは十分幸せなんだ。。。
総評:全人類が観るべき示唆に富んだ作品
絶対に観るべき作品の1つです。絶対に後悔しません。痛くて、苦しくて、辛い物語ですが、それ以上の救い、希望があります。
困難に直面しつつも、ひたむきに前に向かって進む彼女たちの姿は確実にあなたの何かしらの感情を揺さぶります。
「ぼくらにとって本当に大切なもの」がなにか思い出させてくれる「この世界の片隅に」。日本のアニメーションにまた1つ、未来永劫語り継がれる名作が誕生しました。
「この世界の片隅に」がオススメな人
- 生きとし生けるすべてのものへ
「この世界の片隅に」が合わなそうな人
- 淡々とした物語は眠くなっちゃう人
- 映画といえば派手なアクションでしょ!!!な人
正直、人を選ぶ作品だとは思います。物語は特に起伏もなく淡々と進むし、時代物だし。。それでもみんなに観てほしい。特に若い人。知られざる日本の姿がそこにはあります。全部、同じ国での生活です。
今を生きられているだけでもほんとうに素晴らしいことなんです。こんなにも、毎日を大切に生きようと感じさせてくれる作品は他にはありません。
作画やストーリーで毛嫌いせずに、是非一度劇場に足を運んで、その目でこの世界を感じてもらいたいです。
こちらもオススメ
「君の名は」は正直あまりノレませんでした。。。
「聲の形」は最高だったな??
※画像はHPから引用