【ネタバレ】SWマニアが語る映画「ローグワン/スターウォーズ・ストーリー」の感想・考察・小ネタ集 ファンも唸る傑作!
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スターウォーズシリーズ歴代No.1の異名は伊達じゃない。
スターウォーズサーガを補完する傑作スピンオフ「ローグ・ワン/スターウォーズストーリー」が公開されました。
筆者はスターウォーズシリーズを全く見たことなかったのですが「なぜ今までスターウォーズシリーズを観なかったんだろう」と後悔したほどに心を打たれた次第です。
「タイトルにSWマニアって書いてあるけど…」と思われた皆さんは鋭いです。筆者は今明かした通り全くのド素人。
そこで今回は友人から"スターウォーズマニア"を紹介してもらい、そのローグワンの感想をこちらに寄稿して頂きました。
感想だけじゃなくシリーズを通したオマージュ等の解説にも熱がこもっていてめちゃくちゃ面白かったです。まさにスターウォーズ愛に溢れている内容になっています。本当にすごい。
スターウォーズファンの方からローグワンから初めてシリーズを観たという方のどちらも楽しめる内容となってますよ。ぜひご覧になってみてください!
※感想はネタバレを含みます。ご注意ください
ローグワン/スターウォーズストーリーの感想、解説
スターウォーズシリーズとしてのローグワンの位置づけ
『ローグワン』は不思議な位置づけの映画です。
まず、スターウォーズ(SW)サーガを描く長編実写作品の第8作目でありながら、今までの7作品の本筋からは離れたスピンオフストーリーです。
しかも物語内の時系列では、1977年に公開された初代『スターウォーズ(EP4)』の直前にあたります。
つまり、記憶に新しい昨年2015年の『フォースの覚醒(EP7)』の時系列からは30年以上も前にさかのぼる内容になります。これはややこしい…!
スターウォーズ初見で楽しめる?
では、『ローグワン』はSWの世界観に精通したマニア向けの、一見さんお断りの内輪的盛り上がり映画なのでしょうか?
SWの長年のファンからすると「ダースベイダー?あの黒いマスクの人?」という方が観たら正直どう思われるかはわからないです。
しかし、個人的には独立したひとつの作品として非常に楽しめる内容だったと思います。
ただし、スピンオフということもあって、あえてSWの代名詞ともいえるオープニングタイトルのあらすじ紹介を省いているため、
最低限「銀河を支配する悪の帝国と、それに対抗する反乱同盟軍との間で戦争が起こっている。」ということを知っていないと、序盤がきついかもしれません。
もちろん映画の中盤にかけて、そういった背景はなんとなくわかってはくるのですが、序盤は説明ほとんど無しで次から次へと新キャラクターたちが紹介されていくため、SWビギナーからすると、「この人たちはいったい何なの…?」と戸惑うかもしれないです。
しかし、実はこれはSWファンにとっても似たような状況だったのです。
なぜかというと、『ローグワン』はEP4の直前を描いているという位置づけ上、EP4に登場していた人物たちをある程度再登場させなければなりません。
ですが、40年近くも昔の映画に出ていた役者さんたちを主役級に据えて映画を撮りなおすというのは事実上不可能です。
したがって今作『ローグワン』は完全な新キャラクターたちが登場する物語でなくてはならず、ジンやキャシアンを含めほとんどがファンにとっても馴染みのない登場人物たちなのです。そして、EP4に違和感なくつながるようにキャラクターたちが死ななければなりません。
だから、今作の前半で舞台が様々な惑星に切り替わりながら新キャラがどんどん出てくるあたりは、「あ、、大丈夫かなこれ(汗)このあとちゃんと面白くなってくれるかな」と不安な気持ちで見守っていました。
安心してください、"しっかり"おもしろいです
こうした理由で、映画の前半はビギナーにとってもファンにとっても若干不穏な幕開けであったと思います。もちろん、だからこそ誰にとっても新しい気持ちで臨めるスピンオフなんですけどね!
そんな不安をよそに、中盤以降はどんどん盛り上がっていきました…!!
主人公ジンにとっては踏んだり蹴ったりの展開が続きます。惑星ジェダで育ての親ソウ(走れないおっさん)が死に、
やっと再会できた実の父も死に、
仲間だと思っていた男が実は父を抹殺する予定だったことを知り、
そして父が命懸けで残した敵の弱点を反乱軍の首脳部は全然信じてくれず、父の最後のメッセージをもとにした作戦もボツにされてしまうあたりで、この物語の抑圧は臨界点に達します。
しかしそこから先。仲間が集まり、敵の基地の真ん中に忍び込んで一発どデカい花火をぶち上げるところから、テンションが上がっていきます。
スカリフの地上戦では、ファンの誰もが待ち望んでいたであろうフルCGでのAT-AT(四足歩行の戦車)との激戦、
そして宇宙空間では、反乱軍の巨大艦隊とスターデストロイヤー(白い三角形の戦艦)の空中戦。
ちなみに今作に登場したAT-ATはスターファイターの射撃で簡単に破壊されていたのですが、あれは厳密にはAT-ACTという貨物輸送に特化したモデルなので、装甲が薄いという設定なのです。ちょっと残念でしたね(笑)
空中戦では、地上部隊がシールドを解除するのを待ちながら踏ん張り続けるモン・カラマリ(両生類っぽいエイリアン)の司令官、轟沈するスターデストロイヤーなど、『ジェダイの帰還(EP6)』(1983)へのオマージュたっぷりで大興奮させてくれました。
クライマックスからラストシーンに至るまでまさに興奮冷めやまぬ展開でした。
マニアも納得の激アツ展開
その他にも激アツ展開はたくさんありました。まず私が驚いたのはグランド・モフ・ターキン(クレニック長官の上司で痩せた色白の帝国司令官)の登場です。
あのキャラクターはEP4にも登場するのですが、演じるピーター・カッシングは77年当時の時点でかなりのおじいちゃんで、とっくの昔(94年)に亡くなっています。
しかし今回見事にスクリーンに復活し、あの冷徹なイギリス英語で存在感を発揮していました。
すでに亡くなっているはずの俳優をどのように復活させたのでしょうか。まさか幽霊?
実は『ローグワン』に登場するターキンはなんとフルCGなのです!
私は初回鑑賞中に「どこからこんなに似ている俳優を見つけてきたのだろう、特殊メイク?」などと考えていたのですが、あとで調べてビックリ、二回目鑑賞中には「CGもここまできたのか」と感心しながら観ておりました。「これはすげぇ…」(編集者心の叫び)
あとはジンの父ゲイレン・アーソが息を引き取るシーン、あそこは『ファントムメナス(EP1)』(99)のクワイ=ガン・ジンの最期に激似でした。
マッツ・ミケルセンがゲイレン役にキャスティングされたのは単にリーアム・ニーソンに雰囲気が似ていたからではないかと勘ぐってしまうほどです。演出が細かい!
ファンへの細かいサービスも多かったですね!
ジェダの聖都でジンたちに因縁を付けてきた、ならず者感満載のキモいオヤジとエイリアンのコンビはEP4のカンティーナシーンに登場するDr.エヴァザンと相棒のポンダ・バーバ。
彼はあの数日後に全然違う星で片腕をオビ=ワン・ケノービに切り落とされます。考えてみたらあのままジェダに留まりレーザー砲で消し飛ばされるよりは百倍マシでしたね(笑)
また、ジンが帝国のアーカイブの中からデス・スターの設計図を探す場面では、超兵器ダークセイバーなど、コアな層には馴染みのある名前も出てきていました。
その他にもニヤリとする小ネタシーンはたくさんあったのですが、挙げたらきりがないのでやめておきます。
ダースベイダーの登場シーンは微妙?
ほとんどがクライマックスの盛り上がりがかき消してくれるのですが、一点だけどうしても私が文句を言いたいのは、ダース・ベイダーの最初の登場シーン。
彼がスクリーンにその雄姿をさらすのは、05年の『シスの復讐(EP3)』のラストシーン以来、実に11年ぶりなんです…!
SWファンでなくても、おそらく誰もが知っているであろうあのアイコニックなキャラクターの久しぶりの登場、どれだけ盛り上げてくれるのかと超期待していました。
前のシーンから画面が切り替わって、いきなり溶岩惑星ムスタファーのまがまがしいロケーション、その中にそびえ立つ漆黒の城。
これを目にした瞬間、「絶対にベイダーだ!ついに来る!」と私のテンションは最高潮になりました。赤いマントのロイヤルガード。バクタタンク(SWの世界の酸素カプセルのようなもの)の中にぼんやりと浮かぶ人影。
謁見室で落ち着かない様子で待つクレニック。そして「ガガガガガ」と音を立てて開く扉。その向こうからは強い光がさしているため逆光で何も見えません…あの馴染みのあるシルエットを除いては!
ここまでの引っ張りは100点、いや10000000点だったんです!
しかし、そのあとクレニックの表情をワンカット映してからすぐにベイダーの顔に普通にカメラを振ってしまう。ええええええ…。
あのシーンはインペリアルマーチを荘厳な重低音で流しながら、ベイダーの足元から舐めるようにゆっくりとカメラを上げていき、ようやくあのマスクの顔が映る、というような、もっともっと大事にした演出にしてほしかったと思います。
たしかに盛り上がりはしましたが、あんなに簡単にベイダーの顔を映してしまってはこちらのテンションが徐々に徐々に上がっていく過程を楽しめなかったです。惜しい!
ちなみに映画本来の欠陥ではないですが、バクタタンクで療養中のベイダーに、召使いがクレニックの到着を報告するため呼びかけるシーンにも文句が。
セリフでは”My lord”=ご主人様なのに、林完治さんによる字幕が「ベイダー卿」となっており、「先に名前言うなや!台無しだろバカ!!」と憤慨した次第です。あそこはまだタメている段階なのに…!
しかし、クライマックスで暗闇の中にあの呼吸音だけが響き、静かに深紅のライトセーバーが起動されるシーンは鳥肌モノで最高でしたし「10秒の僅差で反乱軍を取り逃がすベイダー卿」という持ちネタをしっかりやってくれていたので、良しとしましょう。アッパレ!
「ローグワン」ならではの見どころは?
最後に、旧作オマージュではない今作ならではのみどころをいくつか挙げながら、全体をまとめていきたいと思います。
クレニック長官は現代のサラリーマンそのもの?
まず何と言っても、デス・スター計画の責任者であるオーソン・クレニック長官の人間臭さの魅力です。
銀河帝国という巨大な組織の中でも指折りの権力者に上り詰め、白いマントをなびかせながら漆黒のデス・トルーパーたちを従えるその姿はまさに悪のエリート官僚そのもの。
しかし、度重なる凡ミスの火消しのためにあちこちの惑星を外回り営業のごとく奔走した挙句、社内監査役に文字どおり首を絞められ、やっとのことで成功させたプロジェクトの手柄も上司に横取りされて社長には会わせてすらもらえない。
最後には部下ともはぐれて自らライバル社のスパイをとっ捕まえに行くのですが、結局はトカゲの尻尾のように組織から見限られてしまうという…。
クレニック長官の姿は現代を必死に生きる我々となんら変わらぬ、巨大なうねりに翻弄されて足掻くことしかできない悲しい歯車の一つのようにも見えて、なんとも嫌いになれないキャラクターでした。
クレニックの肥大したプライドとバイタリティ、そして虚飾の高貴さを絶妙な表情で演じたベン・メンデルソーンは素晴らしい演技だったと思います。
従来のドロイトの概念を覆したK-2SO
二点目はK-2SOの見事なキャラクターデベロップメントです。
今作では本当にワンカットしか登場しなかったR2-D2とC-3POの代わりに、ドロイドポジションを受け持ったK-2。
ドロイドお約束の憎まれ口担当は当然のことながら、R2のお茶目担当と3POの振り回され担当をきちんと併せ持って演じ分け、さらにはお涙担当までこなしてしまうという究極のハイブリッドドロイドでしたね!
SWサーガを振り返ってみると、主役級のドロイドが破壊されてしまうということは稀です。
3POにはボディをバラバラにされるという持ちネタがありますが、頭部だけで会話可能なのでおしゃべりは継続できます。
今作のK-2の様に最後まで主人に忠実に任務を実行し、あのように散っていくドロイドというのは非常に新鮮で、泣かせるものがありました。
予定された死。繋がれた「希望」
冒頭で述べた通り『ローグワン』のメンバーは最初からEP4に生き残ってはならないという宿命を背負わされたキャラクターたちです。
ジン、キャシアン、チアルート(盲目のおっさん)、ベイズ(盲目のおっさんと仲良しのおっさん)、ボーディ(パイロット)、そしてK-2。登場人物全員が、帝国に支配された暗い時代の中で自分の生きた意味を見つけるため、それぞれの役目を果たし戦いながら、美しい砂浜の惑星スカリフで、最後は命を散らしていきます。
それは、立場が違うというだけでクレニックにも同じことが言えます。彼らの叫びが、軌道上のデス・スターの司令室に立つターキンのもとに届くことはありません。
彼の発射命令で放たれるスーパーレーザー砲は、スカリフの地上にいる全ての人々を一瞬にして跡形もなく消し去ります。
しかし、彼らが燃やした命の炎は、デス・スターの設計図という形となって軌道上の反乱軍のもとへ届けられました。
銀河最強の超兵器デス・スターの主砲でさえ、彼らたった数人から成る『ローグワン』の、その希望を打ち砕くことはできなかったのです。
「Stadust(スターダスト)」と「Hope(ホープ)」という言葉が持つ意味
今作の中では、"stardust"と"hope"という二つの言葉が象徴的に何度も用いられます。”stardust”は直訳すれば「星くず」ですが、英語圏では「恍惚・ほれぼれする様子」といったニュアンスでも用いられる言葉で、今作の中ではゲイレンが愛する娘ジンに度々”stardust”と呼びかけます。
一方「希望」を意味する”hope”は反乱同盟軍のスローガンとして登場します。ジンは当初、「反乱軍は希望のために戦う」という言葉に対し、そんなものに頼って戦っているのか、とバカにします。
しかし父ゲイレンの最後のメッセージを受け取り、父が自分たちに帝国打倒の唯一の希望を残していたことを知ると、デス・スターの圧倒的戦力に弱腰になる反乱軍のメンバーたちに叱咤するのです。「あんたたち反乱軍は希望のために戦ってるんじゃなかったの、今こそ戦うしかないのよ」と。
そしてそんな彼女の言葉に希望をかけて集まったのが、決して大人数ではない決死の小隊『ローグワン』でした。彼らは希望のために無謀な戦いを挑み、決して諦めることなく戦い続けました。
デス・スター計画の中核に携わりながら、静かに、孤独な戦いに身を投じ命を落としたゲイレン。その遺志を継ぎ命懸けで設計図を盗み出したジン。キャシアンをはじめとする『ローグワン』のメンバーたち。
彼らの肉体はたった一瞬にして消し飛んでしまいましたが、彼らが命を懸けた「希望」そのものである設計図は、1枚の小さな情報ディスクとなって、EP4(副題『新たなる希望』)へと時空を超えて持ち越されます。
そして、スカリフの激戦など夢にも知らない少年ルーク・スカイウォーカー(EP4の主人公)が、生まれ育った辺境の惑星タトゥイーンを旅立ち、『ローグワン』が命を懸けたあの設計図をもとにデス・スターを破壊し、文字どおり”stardust”=「宇宙の塵」に変えるその瞬間へと、確実につながっていくのです。(感想ここまで)
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