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圧倒的成長侍

観た映画の感想を中心に、買ったモノや行った場所のレポートを書いてます

“リアル過ぎて泣けました”マンガ「重版未定」が描く出版業界のリアルが味わい深い

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圧倒的成長を約束する記事3選+1

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華やかに見える出版業界は苦労がいっぱい。

 

 

 

出版。そこは多くの学生が憧れる華やかな業界の1つ。 ドラマ「重版出来!」でその世界に憧れを抱く人も増えたに違いない。

しかし、全ての出版社があのように仕事ができていると思うのは早計だ。個人が営む小規模なスーパーがあるように、出版社にも小規模の会社はごまんとある。 そういった会社の苦労を赤裸々に描いたマンガがあったら読みたくないだろうか?

そのマンガが「重版未定」だ。

先に書いたドラマのタイトルを堂々と皮肉ったタイトルは感服に値する。 著者は現役で編集者の会社勤めをしながら作家業もしている川崎昌平さん。

 

現役編集者だからこそ描ける、出版社の情景

フルタイムで出版社に務めながら、空いた時間を活用してこのようなマンガをコミケで売ったり、書籍を執筆している。 そんな川崎さんだからこそ書ける、皮肉も混じった出版社の(ブラックな?)リアルな事情は読んでいて時に胸が熱くなったり、胃が痛くなるような思いにさせられたりと様々な感情を呼び起こさずにはいられない。

 

例えば第一話でこんなシーンがある

 

⇒主人公の編集者が※入稿まで二時間の締め切りの書籍を編集し終え、編集長に確認をもらう一幕。

 

編集長「お前さあ 何を考えてこの本を編集した?」

主人公「間に合わせることだけ考えてました」


編集長「ならOK これで入稿していいよ」

 

「え、それでいいの!?」と思わずにはいられないこのアバウト感。

 

このようなやりとりが実際に行われているのかは定かではないが、この出版社の行方が気になってしまうような、そんな1シーンだ。

 

ほかにも出版記念イベントにお客さんが一人も来ないという、未曾有の事態に陥るシーンなども。この危機に直面する主人公の対応は無力感しか感じないが、現実とはそういうことなのだろう。無常だ。

 

本を愛する者たちの名言にしびれる

今作を読んでいると著者の川崎さんは本当に本が好きなんだな…ということをしみじみと感じる。

 

というのもこのマンガは先の「間に合わせることだけを考えた」に始まり出版に携わるものなら思わず唸ってしまう名言のオンパレードなのである。

 

企画会議で主人公が出した案に対して

編集長「この本に読者はいるか?」

主人公「います」「私が読者です」「売れようがうれまいが知ったこっちゃない」「私が読みたいんです」

編集長「よし やろう」

まるでベンチャー企業でも見ているかのような勢いだ。著者はTwitterでこのシーンについてこのように補足している。

 

主人公が※誤植してしまった際の編集長の一言

「とにかくだな…」「本ってのは<間違いを残すため>にあるんだよ」

どことなく哲学的な風味を醸す一言。名言っぽさはある。

 

終電で帰宅する主人公のぼやき

「必ず定時で帰れる出版社ってないかな…」「あったら今すぐ転職したい」

 

なんというか心がつらくなる。

 

「編集者」と「著者」の関係

原稿提出が遅れている著者に対して文句を言う主人公に対して編集長が放つ言葉がまさに。

 

編集長「著者に文句を垂れるのは編集者の仕事じゃねぇ」 「書いていただいてるんだぞ?謙虚になれ」

 

全ての編集者に捧げたい金言ではないだろうか。筆者は社会に出たこともないひよっこだが、この言葉にはジーンとさせられた。

バンドマンがファンと自分たちを「対等な存在」と表現するように編集者と著者もまた対等なのだ。

自分の時間さえあれば苦じゃない

終電で帰宅する主人公だが、幸せを作れるかどうかはどこまでいっても自分次第。

 

「働いて酒呑んでマンガ描いて…幸せだ」「自分の時間さえあれば残業なんざ苦じゃない」

 

「残業で自分の時間なんざありゃしない」と嘆くビジネスマンに彼の爪の垢を飲ませたい。

 

楽しみながら出版業界の「現実」を知ることができるブラック・コメディ

このマンガを最新号(現在もWEBで連載中)まで読み進めた暁にはあなたは出版社の仕事、そして現実を一通り理解できることだろう。

 

何故なら、このマンガでは出版業界で使われるであろう用語を全てWikipediaも顔負けレベルで解説してくれている。

 

第一話のタイトルにもなっている「入稿」に始まり、「カンヅメ」など使いたくなってしまう言葉まで、あくまで小規模出版社の視点から解説している。 例えば先程※印をつけた「入稿」「誤植」についてはこのように解説されている。

 

入稿

印刷所に編集済みの原稿を届けること。この場合は組版まで終了しているデジタルデータを印刷所に送信する行為を指す。書籍完成に至るまでの最重要ミッション。多くの〆切は入稿を起点に計算される。

 

誤植

活版印刷において活字を一字ずつ選んで版をつく肯定を「植字」と言い、その過程で「誤って文字を植えてしまう」ことを誤植と呼んだ。元来は印刷上のミスを指す言葉だったが、デジタル製版全盛の現代においてはほぼ確実に編集者のミスでありエラーであり失態である。誤植が好きな編集者はこの世にいないが、誤植を知らない編集者もまた存在しない。笑って済ませられるものとそうでなものとがあり、後者の場合は重大な経済的損失を出版社にもたらす可能性もある。

 

誤植の項は読んでいて胸が痛くなるほどリアルだ。

これも現役編集者だからこそ書ける表現だろう。 このようにして、出版業界用語を知りたければこのマンガを読め!と言ってしまっても過言ではないくらいの情報量も詰まっており、それでいて万人が楽しめるマンガがこの「重版未定」である。

出版業界での華やかな仕事の日々を夢見るあなた、一度この本を手に取ってみてまずは出版社の「リアル」を味わってみてはいかがだろうか。

ちなみにこのマンガは11月29日に書籍化しており今では様々な書店で「重版出来!」している。まさに出版界のジャイアント・キリング。

 

WEB版はDOTPlaceで好評連載中!