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【読書感想文】 朝井リョウ「武道館」/アイドル達が紡いだ「選択」の物語

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【正しい選択なんてこの世にはない。たぶん、正しかった選択、しか、ないんだよ】











本作は、武道館ライブを目指し、活動している女性アイドルグループの物語である。

本作は、現代の”かたち"を静かに炙り出す物語である。

本作は、"選択"の物語である。









アイドルになることを選択した少女。
普通の少女でいることを選択した少女。
夫ではなく、別の男と生きることを選択した女性。
真冬にアイスをコンビニで買う選択をした少年。









アイドルとして正しい選択。1人の女性として正しい選択。









そこらじゅうに溢れる”正しさ”のかたち。 生まれた直後から、敷かれるレール。親から敷かれるレール。学校から敷かれるレール。事務所から敷かれるレール。どれも同じ。

それが正しいと、一体誰が決めたのか。アイドルとして「正しくないこと」をしてしまったグループの女性は言う。「正しい選択なんてこの世にはない」。

選択が正しかったかは結果論である。選択の後の現象をコントロールできるのは、自分自身。ただ1人だ。社会は責任を負ってはくれない。









ぼくらはいつから正しいことをしようとすることに、正しくあろうとすることに慣れてしまったのか。社会が要求する正しさは、自分にとってほんとうに正しいことなのか。

それを決められるのは自分自身でしかない。





選択。



何かを選び取り、何かを諦めること。どちらの自分も"ほんとう"の自分なのに、諦めなければならないこと。





捨てたことを、諦めたことを「正しかったこと」にすることができるのは、自分自身しかいない。

自分のハンドルは、自分自身が握っている。

「私が 私を 信じてあげる」

しかないのだ。









10代後半のアイドル達が、忘却しかけていた選択という行為の輪郭を、くっきりと浮かび上がらせてくれた。

これはアイドルの物語であり、選択の物語である。








武道館
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引用元:朝井リョウ「武道館」より